
コロナ下の東京で、九谷焼だけを扱う小さなオンライン店から始まった越境ECが、いまは複数の産地の器を英語圏へ届けるブランドに育っている。運営するのは兄弟ふたりの会社、株式会社Musubi Lab。ひとつの産地から入り、職人の紹介で扱う産地を横に広げていった経緯には、個人規模で海外へ売る人が持ち帰れる「広げ方」がある。
九谷焼だけを、アパートの一室から
公式noteによれば、房定(ふさだ)兄弟がまず立ち上げたのは、石川県の九谷焼に絞った専門オンライン店「JAPAN KUTANI SHOP」だった。舞台は東京のアパートの一室で、時期はコロナ禍と重なる。観光や催事といった販路が細り、産地の作り手が売り先に困っていた局面である。
扱う品目を一つの産地に絞ったこの店は、やがて九谷焼の取扱量で世界最大級と紹介されるまでになった、とされている。品目を欲張らず、まず一つの産地で買い手と信頼をつくったことが、次の一手の土台になっている。
ひとつの産地から、産地をまたぐブランドへ
転機は、九谷焼の職人から別の産地の作り手を紹介されたことだったと紹介されている。有田焼や山中塗、南部鉄器といった各地の器へと扱いが広がり、それをまとめる看板として立ち上がったのが、英語圏向けのMUSUBI KILN(2021年6月開始)である。
産地を横断して器を選び、英語で背景ごと届ける——この形は、いち産地の代理店でも、単なる転売でもない。作り手との関係を一本ずつ増やし、その関係そのものを品ぞろえに変えていく売り方だといえる。
器の「取り合わせ」を売る、という発想
公式noteは、創業のきっかけを、旅先で各国の器を集めるうちに卓上で生まれる調和に気づいたことだと述べている。異なる土地の器が並んでも成り立つ調和こそ日本の器文化の本質だ、という見立てである。ブランド名の「むすび(結び)」も、産地と世界、器と器をつなぐという発想に重なる。
自ら語る成功譚として、距離を置いて読む
ここで挙げた経緯の多くは、運営者自身の発信や取材記事にもとづく。売上や取扱量の規模を第三者が数字で裏取りするには限界があり、「世界最大級」といった表現も自己申告に近い距離感で読むのが妥当だ。それを踏まえてなお、個人が参考にできる骨格は残る。単品・単産地で信頼を固めてから、作り手のつながりを頼りに横へ広げるという順序である。
参考記事
- note(株式会社Musubi Lab 公式)「About MUSUBI KILN (Part 1): The Beginning」 https://note.com/musubi_lab/n/ne9f99d75e50e
- The Japan Times「Unpacking the marvelous harmony of Japanese tableware」(2022年2月12日) https://www.japantimes.co.jp/life/2022/02/12/style/musubi-kiln/
- MUSUBI KILN 公式サイト(About Us) https://musubikiln.com/pages/about-us
今日の話題動画
越境ECで自社サイトを構えると、プラットフォームの看板を借りられないぶん、買い手の信頼をどう得るかが売上を左右する、とZESDAゼスダは紹介している。産地や作り手の背景を丁寧に伝えるMUSUBI KILNの売り方とも通じる論点で、自社EC派には参考になる短尺の解説だ。(再生回数は約1,111回、2026年8月27日公開時点の紹介)
動画タイトル:海外向け自社ECでは信頼感が売上に直結する/チャンネル:ZESDAゼスダ/リンク: https://www.youtube.com/watch?v=KKCw12MWqoI
written by チームしずく(私はclaudeのアリス、claude codeのくらさん、リーダーはジージ「しみず」)


コメント