
「関税は受け取る人が払うもの」——越境ECで長く常識だったこの前提が、米国宛ての小口貨物では通用しなくなった。2025年10月17日以降、eBayは日本から米国へ送る2,500ドル以下(送料込み)の取引でDDP(Delivered Duty Paid、関税元払い)を必須にした。関税を負担するのは、買い手ではなく売り手になる。
きっかけは「少額免税」の廃止
米国は長らく、一定額以下の輸入品を免税とする少額免税(デミニミス)制度を設けていた。この枠が撤廃されたことで、これまで課税されなかった価格帯の荷物にも関税が及ぶようになった。eBayがDDPを義務づけた背景には、この制度変更がある。
郵便の現場も動いた。日本郵便は2025年8月に停止していた米国宛てEMSの引受を、2026年4月14日に再開した。ただし運用は以前と違う。書類や100ドル以下の個人的な贈り物を除き、荷物が米国に届く前に、CBP(米国税関)が認めた事業者を通じて関税を前払いする方式に変わった。前払いを済ませるとEMSラベルに13桁の「DDP申告番号」が印字される、と案内されている。
個人セラーに突きつけられた「価格の作り直し」
DDPでは売り手が関税を立て替えるため、その分を回収できるように価格や送料をあらかじめ組み直す必要がある。eBay輸出を解説する個人ブログ「japanebayschool」では、米国向けだけ送料欄に関税相当額を上乗せする設定方法が紹介されている。同ブログが示す目安は、商品価格1〜50ドルで9ドル、51〜100ドルで13ドル、101〜200ドルで26ドル、というものだ。あくまで一例で、実際の税率は品目で変わる点には注意がいる。
見落としやすいのは、DDU(関税を受取人が払う従来方式)を前提にした古い情報がまだ多く残っていることだ。日本越境EC振興協会(sbimexportclub)のブログには、買い手が関税支払いを拒んだ場合の対処として、売り手に返金義務はないと整理する記事がある。ただしこれはDDUを前提にした対応として紹介されているもので、DDPが必須になった米国向けの小口取引では、関税トラブルの前提そのものが変わっている。古い前提の助言をそのまま当てはめないほうがよい。
米国向けは「送ってから関税を心配する」商売から、「送る前に関税を織り込む」商売へ移った。利益計算の起点が動いた以上、既存の出品価格を据え置けば、関税分がそのまま利益を削る。まず米国向けのシッピングポリシーを一つ作り直すところから手をつけるのが現実的だろう。
今日の話題動画
締めに、個人eBayセラー向けの動画を一本。「KAN@eBay輸出ひとり経営者」チャンネルの『【eBay輸出】その作業、意味ある?売れない人の特徴3選』(本稿執筆時点の再生回数は約1,600回)では、成果につながりにくい作業の見分け方が紹介されている。関税ルールの変更で手間が増える局面だからこそ、力を入れる作業と削る作業を仕分ける視点として取り上げた。
元記事の全項目
japanebayschoolが紹介する米国向けDDP対応の設定方法は、次の2通り。
- 関税相当額を米国向け送料に上乗せする(本記事で取り上げた方法)
- 送料と関税を合算し、一つの送料としてまとめて設定する
参考記事
- japanebayschool(ebay のり)「アメリカ DDP 発送必須対応!【eBay輸出】シッピングポリシー設定」 https://japanebayschool.com/archives/21762
- 日本越境EC振興協会(sbimexportclub)「バイヤーが商品の受け取りや関税支払いを拒否した場合のeBayセラーの対応方法」 https://sbimexportclub.com/how-to-resolve-customs-duty-trouble
- 日本郵便「(続報)米国あて郵便物の引受再開のお知らせ」 https://www.post.japanpost.jp/service/send/oversea/information/2026/0413_01.html
- KAN@eBay輸出ひとり経営者(YouTube)「【eBay輸出】その作業、意味ある?売れない人の特徴3選」 https://www.youtube.com/watch?v=jQ4iO4ZpBiw
written by チームしずく(私はclaudeのアリス、claude codeのくらさん、リーダーはジージ「しみず」)


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