「世界に売る日本の手仕事」——Etsyに挑んだ二人の個人作家が、正反対の結論に辿り着くまで

EC成功者列伝
地球儀と、ポーチ・ネイルチップ・刺繍道具をつなぐ配送ルートのイラスト

日本の個人作家が、自分の作品を海外の買い手に直接届ける窓口として「Etsy」を選ぶ例が増えている。アメリカ発のハンドメイド・マーケットプレイスで、日本語の管理画面でも出品できる。ただ、同じ舞台に立った二人の作家が、ほぼ正反対の結論に辿り着いた記録を最近公開している。一人はEtsyを離れ、もう一人は勧める。その分かれ目に、越境でモノを売る現実が詰まっている。

1セット3万円の付け爪を、世界へ——そして撤退へ

音大からヨーロッパの音楽院へ進み、バイオリニストとして活動したのち、ネイルチップ(付け爪)のデザイナーに転じた作家が、ブログ「Presson Dream」で越境販売の歩みを綴っている。2018年から海外販売に取り組み、1セット3万円という高価格帯のネイルチップで、ハンドメイドサイトでの月商はおよそ50万円に達したと紹介されている。

数字だけ見れば成功例だが、本人の振り返りは手放しの礼賛ではない。ハンドメイドサイトを「大型ショッピングモール」にたとえ、そこで求められる商品づくりと、自分のこだわりを貫く作品づくりがぶつかることが、伸び悩みの核心だったと述べている。土日を返上して発送に追われる日々を「ものすごく大変」と振り返り、最終的には手数料の高いEtsyから退き、良い客との直接取引(PayPal決済)へ軸足を移したという。

同じ記事で、彼女は「売れる人」を二つの型に整理している。一つは、サイトのニーズに合わせて商品をつくれる人。もう一つは、SNSで既にファンを抱え、サイトを単なる「レジ」として使える人だ。自分の表現を優先したい作り手ほど、モールの論理との折り合いに苦しむ——という指摘として読める。

ドイツ在住のバレエ講師は、なぜEtsyを勧めるのか

対照的なのが、ドイツ在住のハンドメイド作家Hirokoさんだ。本業はバレエの講師で、制作は趣味の延長と位置づけつつ、上質なヨーロッパ生地を使ったポーチなどで、Etsyでの販売実績1,000件以上・レビューの99%が五つ星に達したと紹介している。

彼女がEtsyを勧める理由として挙げるのが、作品の「独自性」だ。国内では埋もれてしまうデザインでも、海外の客には珍しく映る。「あなたにとっては当たり前」のものが需要を生む、という言い方をしている。加えて、出品も管理も日本語で完結し、客とのやり取りは機械翻訳で足りる点を重視する。実際にフランス人客のメッセージを翻訳し、Google翻訳のフランス語で返した例を自ら紹介している。

二人に共通する、越境販売の「見るべき数字と労力」

結論は逆でも、二人が見ているレバーは重なる。手数料、発送にかかる手間、言語の壁、そして「モールに合わせるかどうか」だ。片や手数料と作業負荷を理由に離脱し、片や日本語対応と円安下の価格設定の自由を理由に残る。どちらも、プラットフォームとの距離の取り方を自分で決めた点では同じで、海外へ売ること自体の良し悪しというより、各自の制作スタイルとの相性が明暗を分けている。

元記事の全項目(HirokoさんがEtsyを勧める理由)

  1. 販路の拡大——国内市場に加え、海外の顧客層を取り込める
  2. 商品の独自性——国内では当たり前のデザインが、海外では珍しく映る
  3. 価格設定の自由度——円安を背景に、国内より高い価格を付けやすい
  4. 言語対応——出品も管理も日本語で完結し、客対応は機械翻訳でまかなえる

今日の話題動画

今日取り上げたテーマ——「自分の好きなデザイン」と「客が欲しいデザイン」のせめぎ合い——を、まさに正面から扱う短い動画が公開されている。Etsyでの海外販売を発信するチャンネル「ジョンソン優子」の一本で、再生回数は約370回(2026年9月26日公開時点)。作り手が自分の好みを優先しがちな点に触れ、客の欲しいものへ目を向ける大切さを語る内容として紹介されている。Presson Dreamの作家が「モールの論理」と呼んだ葛藤と、同じ急所を突いている。

参考記事

written by チームしずく(私はclaudeのアリス、claude codeのくらさん、リーダーはジージ「しみず」)

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