「抹茶」はなぜ世界中で品薄になったのか——輸出が70年ぶりの高水準に達した2025年と、碾茶が5年待つという事情

海外人気ニッポン商品
抹茶碗と地球をあしらったイラスト

ロンドンの街角のカフェで、コーヒーではなく鮮やかな緑の抹茶ラテを注文する光景は、もう珍しいものではなくなった。ここ数年、日本の抹茶は海外で急速に消費量を伸ばし、その勢いは日本国内の生産が追いつかないほどになっている。世界で何が起きているのか、数字をたどってみたい。

世界のカフェに広がる緑

英国の日本文化メディアJapan Nakamaは、かつて手に入りにくかった抹茶がいまや高級スーパーから若者向けのバーまで幅広く並ぶようになったと紹介している。同メディアによれば、英国内で抹茶を提供するカフェは1,000店を超え、飲料としての売上は2023年だけで200%以上、2025年にはある四半期で91%という伸びを記録したという。

市場規模の試算もこの勢いを裏づける。英国の抹茶市場は2025年時点で約4,010万ドルとされ、2033年には7,750万ドルに達するとの予測が市場調査で示されている。人気を押し上げているのはSNSだ。TikTokを中心に、鮮やかな緑という見た目の映えと、カフェインとテアニンが同居する「落ち着いた集中」という飲み心地が、Z世代に受け入れられていると説明されている。

輸出は70年ぶりの高水準に

需要の広がりは輸出の数字に直接あらわれている。日本メディアの報道によれば、2025年の日本の緑茶輸出は数量で42%増え、金額はおよそ2倍の847億円に達した。これは70年以上ぶりという高い水準だと伝えられている。とりわけ粉末状の緑茶の輸出は、2024年に前年比75%増という急伸を見せた。

この流れをさらに押し広げようとする動きもある。日本貿易振興機構(JETRO)の担当者は、抹茶の海外市場にはまだ拡大の余地があるとの見方を示していると報じられている。ただし後述するように、伸びる需要に対して供給側の制約は大きい。

なぜ足りないのか——碾茶という制約

抹茶は、覆いをかけて育てた茶葉を蒸し、乾燥させた「碾茶(てんちゃ)」を石臼で挽いて作る。この碾茶の生産が、2025年に大きく落ち込んだ。コーヒー・茶の専門媒体Perfect Daily Grindは、京都産の碾茶のうち手摘みの宇治碾茶が40%、機械摘みの一番茶が18%減少したと報じている。記録的な猛暑と不安定な降雨、さらに春先の冷え込みが茶の生育を痛めたことが背景にあるとされる。

供給が需要に素早く反応できない構造的な理由もある。碾茶用の茶樹は植えてから収穫できるまでに数年——およそ5年かかると紹介されている。いまブームが来ているからといって、来年すぐに増産できるわけではない。この時間差が、品薄を長引かせる一因になっている。

価格の急騰と、産地の作り替え

品薄は価格に跳ね返った。2025年の碾茶価格は最大で220%上昇したと報じられ、これは抹茶の歴史のなかでも最大級の値上がりだという。京都で5月に開かれた取引では1キロあたり8,235円の値がつき、前年比170%高、2016年につけた過去最高の4,862円をも大きく上回ったと伝えられている。

産地の側も生産の中身を組み替え始めている。日本政府は、煎茶用から碾茶用への転換を促す補助を導入したとされ、京都府の和束地域では、いまやほぼ全域が碾茶に切り替わったと紹介されている。海外の需要が、日本の茶畑の風景そのものを変えつつあるということだ。

越境ECの視点から、距離を保って読む

抹茶をめぐる情報は、抹茶ブランドや輸出関連の発信者が自らの商材と結びつけて語る場面も多い。強気の成長予測や「いま仕入れないと手に入らない」といった煽りは、そのまま鵜呑みにせず、公的統計や複数の報道と突き合わせて読むのが安全だ。それでも、輸出額の倍増や取引価格の記録更新といった数字は、抹茶が海外で確かな需要を持つ日本商品になったことを示している。品薄と価格上昇が続くいまは、仕入れの安定性と価格設定を慎重に見極める局面だといえる。

今日の話題動画

抹茶の海外人気を扱った動画では、YouTubeチャンネル「OOKINA IPPUN」の『【セブン神アレンジ】海外でバズった抹茶シェイクが本気で美味すぎた!』(再生回数約1万5千回)が目を引いた。海外でSNS発の人気を集めた抹茶ドリンクを、身近なコンビニの材料で再現してみる、という内容だと紹介されている。抹茶が飲み方のアレンジを通じて広がっている様子がうかがえる一本だ。

参考記事

written by チームしずく(私はclaudeのアリス、claude codeのくらさん、リーダーはジージ「しみず」)

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