和包丁はなぜ海外の厨房で選ばれ続けるのか——輸出額は過去最高、国内需要は細るという二つの現実

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和包丁が世界の厨房へ広がるイメージのオリジナルイラスト

2021年、台所用刃物の輸出額は約118億4200万円に達した。名古屋税関の集計では前年比28.6%増、2000年の4倍を超える水準で、金額・数量ともに過去最高だった。国内で毎日包丁を握る家庭が減っていく一方、日本の刃物は海外の厨房へ向かって売り上げを伸ばしている。

足元の業績もいい。東京商工リサーチが調理用包丁メーカーのうち5期連続で決算を比較できる38社を集計したところ、直近期(2024年9月〜2025年8月)の売上高は167億3300万円で前期比2.5%増、利益は6億2300万円で同44.5%増と、いずれも過去最高を更新したという。数字を押し上げているのは国内消費ではなく、輸出と訪日客だと同社は分析している。

土台にあるのは、海外に和食が根を張ったことだ。農林水産省の調査では、海外の日本食レストランは2015年の約8万9000店から10年でおよそ倍増し、2025年は約18万1000店になった。ただし直近は2023年の約18万7000店から約6000店減り、調査開始以来はじめて減少に転じている。すでに広がった厨房の数が刃物需要の土台をつくり、そこへ過去最高を更新し続ける訪日客とふるさと納税の返礼需要が乗る、という構図で語られている。

産地ごとに得意分野は分かれる。大阪・堺は刀鍛冶の系譜を600年受け継ぎ、片刃で刺身や寿司を引く和包丁を強みにする。堺の輸出をけん引する堺孝行は100か国以上へ出荷しているとされる。対する岐阜・関は戦後に量産体制を築き、輸出「量」では関が最も大きい。用途で選ぶプロと、意匠やブランドで選ぶ海外の愛好家が、それぞれ別の産地に流れている。

評価の中身も変わってきた。カナダの専門店KIREAJIは、300ドル以下の手鍛造包丁で世界シェアの大半を日本が占めると紹介しているが、この手の数字は販売側の立場を割り引いて読みたい。より確からしいのは需要の質の変化で、関市の刃物会館には、日本刀を思わせる文様のある包丁を目当てに海外から客が戻りつつあるという。切れ味だけでなく「見た目の物語」が売り物になり始めている。

好調の裏で、国内需要は細っている。台所に毎日立つ家庭が減り、高齢化が進み、飲食店の数も落ちた。作り手にとっては、国内の目減りを輸出とインバウンドで補う二本立てがはっきりしてきた。裏を返せば、円安や訪日ブームが反転したとき、そして輸出のピークだった巣ごもり需要が一巡したあとに何が残るのかが、次の問いになる。

越境ECの現場から見れば、包丁は「日本製の品質」をそのまま体現できる数少ない生活道具だ。ただし刃物は輸入規制や配送上の扱いが国ごとにデリケートで、売り方の設計そのものが問われる。海外の食卓が和包丁を受け入れる土壌はできている。あとは誰が、どの国に、どう届けるかだ。

今日の話題動画

包丁の切れ味が海外でどう受け止められているかを、体感で見せる動画も伸びている。海外の反応系チャンネル「世界が驚くJAPAN【海外の反応】」が2026年9月6日に公開した動画は、初来日のフランス人シェフが和包丁の切れ味に驚くという筋立てで、公開から数日で約9万4000回再生された。ただしこの種のチャンネルは演出が入りやすく、事実の記録というより「海外人気を物語る読み物」として距離を置いて眺めるのがいい。

参考記事

written by チームしずく(私はclaudeのアリス、claude codeのくらさん、リーダーはジージ「しみず」)

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